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京都市北区西賀茂榿ノ木町31−2
院長 諸岡 憲(もろおか けん)
  1. オーダーメイド療法と遺伝子学的検査について

オーダーメイド療法と遺伝子学的検査について

オーダーメード療法とは、アレルギー病因遺伝子の検索で原因を明らかにし、この遺伝的脆弱部分を修復していく、という療法です。問題点は、病因遺伝子が判明した時点で、その遺伝子にピンポイントで作用する薬が、現時点ではないかもしれないということです。

遺伝子学的検査(正式には、アレルギー病因遺伝子パネル検査)は、喘息やアトピー性皮膚炎の病因遺伝子を検索する検査です。

今回のご質問

オーダーメード療法についてお尋ね致したくメールさせて頂きました。
私の子供は気管支喘息ですが、アレルギーの検査では何のアレルギーも見つかりません。そのような場合でもオーダーメード療法は有効なのでしょうか?
また先生のところでの血液検査は一般的な病院とはどう違うのでしょうか?  30代・女性

 

ご質問有り難うございます。
さて、まず血液検査ですが、当院で通常に行う血液検査は、他の病院と同じです。
一般のアレルギー血液検査は、アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)を検索することを目的としています。
従って、ハウスダストやダニ、あるいは、動物の毛と言った喘息を引き起こす代表的なアレルゲンを検索することからはじめ、更に、数10種類まで検索することは可能ですが、通常、20〜30種類検索して有意な結果が得られなかったら、患者様の負担(経済的、肉体的)も考え、どこの病院も、「原因不明」として打ち切る場合が多いと思います。


一方、遺伝子学的検査(正式には、アレルギー病因遺伝子パネル検査)は、喘息やアトピー性皮膚炎の病因遺伝子を検索する検査です。すなわち、現在までに判明しているアレルギー病因遺伝子12種類を、血液からDNAを抽出して測定するという、画期的な検査です。
つまり、敢えて誤解を承知で申し上げますが、いわゆるアトピー性疾患(喘息やアトピー性皮膚炎)の発症には、何らかの両親からの病因遺伝子が存在し、これに種々の環境因子(胎内発育環境、生活環境、食生活、そして、アレルゲンの暴露など)が作用した結果、発病すると考えられています。
従って、アトピー性疾患の病因遺伝子は、アレルゲンよりも遙かに根源的な原因と考えられるのです。


これを検索・同定するのが、この検査の目的であります。
以上のように、一般のアレルギー検査よりも遙かに病気の本質に迫る検査なのです。
この検査は、岐阜大学医学部小児科学教室と米国BML社との共同開発によるもので、特許権を有するため、現在は岐阜大学でしか行えません。
さらに、保険適応外のため、実費となります。
将来的には、さらに候補遺伝子の種類も増やし、検査項目も増やす予定です。
以前は、血液を当院で採取して、岐阜へ送り、約4〜5日で結果が判明するという流れでしたが、個人情報保護法に基づき、2007年4月以降は、当人が岐阜大学を受診しない限りできなくなりました(勿論、当院から紹介受診は出来ます)。


アレルギー病因遺伝子のことについて詳しく述べていますと、一冊の本になってしまいますので、一般向けとしては、「朝日メディカル 2005年6月1日号」を図書館等(あるいは、書店取り寄せ)でご覧下さい。
次に、オーダーメード療法とは、これらのアレルギー病因遺伝子の検索で原因を明らかにし、この遺伝的脆弱部分を修復していく、という療法です。よく知られているオノンやアイピーディーも、この療法の発想に従って、開発された薬の一つです。
但し、問題点は、病因遺伝子が判明した時点で、その遺伝子にピンポイントで作用する薬が、現時点ではないかもしれない(現在の薬理学の進歩から考えれば、数年から10年くらい先には開発されると思いますが)、ということです。


分かりやすく言いますと、ある遺伝子Aの欠損(病因遺伝子A')の存在が判明したとします。即ち、遺伝子Aの欠損(病因遺伝子A')によって、本来、喘息を抑える体内化学物質Bの産生が極端に減少していることが分かりました。この場合、治療法としては、
@体内化学物質Bを薬として補充してやる。または、
A欠損した遺伝子A(病因遺伝子A')を骨髄移植等の方法で、正常遺伝子Aと取り替える。
のいずれかになります。


Aは、非常に費用も掛かり、また、遺伝子操作の倫理的問題もあるため、現在、積極的には行われていません。そこで、@の手法になるわけで、その薬剤が、オノン、アイピーディー、シングレアなどにあたります。もうお分かりかと思いますが、体内化学物質Bに相当する薬がない場合、効果を劇的に望めるのが難しいと言うことなのです。