休診日:日曜・祝日

     水曜日と土曜日は午前のみです

京都市北区西賀茂榿ノ木町31−2
院長 諸岡 憲(もろおか けん)
  1. 妊娠と水痘の関係について

妊娠と水痘の関係について

VZVの抗体値測定(血液検査)を受けられた方が良いでしょう。

今回のご質問

突然申し訳御座いません。
私今2番目を妊娠中で、妊娠3ヶ月です。
4歳の長女が、発疹が体中に出て病院へ行ったら水ぼうそうと言われました。
私自身は、母に聞いたら生後9ヶ月で水ぼうそうにかかったとの事です。
お腹の子供に注意する事はありませんか?
又、主人が水ぼうそうに掛かったかどうかハッキリしない時、注意する事はあり ますか?
以上の事よろしくお願いします。
30代女性

 

お問い合わせの妊娠と水痘、および、成人未罹患者への対応についての件ですが、まず、妊娠中の対応についてお答えします。


妊娠中に感染・発病した場合、胎児に悪影響の出る恐れのある微生物は幾つかあります。
1)トキソプラズマ(寄生虫)
2)風疹ウィルス
3)サイトメガロウイルス
4)単純ヘルペス


1)は猫を最終宿主(ヒトは中間宿主)とする寄生虫であり、ヒトも猫も、寄生した場合、神経組織、特に、眼球に寄生することが知られています。 妊娠中に、これに初めて感染すると胎児の眼球に寄生して失明したり、重大な脳損傷を来す恐れがあります。但し、日本人成人の80%以上が既感染者(不顕性感染と言って症状が全く出ずに罹ってしまっている)であり、既に抗体を獲得していると考えられます。 (2)〜(4)は、敢えて説明するまでもありませんが、ウィルス感染症であり、いずれも、妊娠初期(0〜4ヶ月くらい)に、妊婦が初めて感染・発病したら、胎児に重篤な奇形(特に脳神経組織)が生じる危険性が高いことが知られています。


これらの4つに関しては、妊婦が妊娠に関して医療機関を定期受診している限り、必ず血液検査をして既感染であるかどうかをCheckしています。
さて、現在問題にされています水疱瘡(水痘)ですが、病気の本態は、水痘帯状疱疹ウィルス(Varicella Zoster Virus, VZV)の初感染によって起こります。
VZVはヘルペスウイルスに属しています。
つまり、上記の(4)単純ヘルペス(Herpes Simplex Virus, HSV)とは、極めて近縁関係にあるものなのです。
従って、VZVに妊娠初期に初感染を起こすと、HSVの場合と同様、胎児に奇形症候群を来す恐れがあるのです。
但し、単純ヘルペス(HSV)に比べると、VZVの方が危険性は低く、胎児に悪影響が及ぶ確率は数100分の1から数千分の1程度と考えられています(何故なのかその機序は未だによく分かっていません)。


加えて、VZVに関しては、殆どの成人が既顕性感染者であるか、(不顕性感染や予防接種による)抗体既獲得者であるため、妊娠に関して、特に注意を払われていないのです。
以上をまとめて、結論づけますと、お母様の記憶では生後8ヶ月で水痘に罹患しているとのことなので、貴女は既感染者にあたり、まず問題はないと思われます。
次に、ご主人ですが、おそらくは、上記に述べたように、不顕性感染者だろうと思われます。即ち、ご主人は、それと気がつかないうちに、水痘に罹患して抗体を既に獲得している人ではないかと考えられます。


いずれにしても、ご安心のためには、貴女の場合、まず水痘、即ち、VZVの抗体値測定(血液検査)を受けられた方が良いでしょう。
ご主人も出来れば、同検査を受けられたらご安心できるかと存じます。
ついでながら、水痘ワクチン関しては、明らかに発病している者(即ち、貴女のお子様)と接触してから3日以内に接種すれば、70%程度発病を阻止できると考えられています。
但し、上記のような理由から、妊娠初期の方には原則として水痘ワクチンは接種できません(妊娠初期でも接種可能なワクチンは、他のワクチンなら数多くあります)。
当院に受診して頂ければ、ご主人と貴女の血液検査を施行した上で、更に詳しくご説明させて頂きます。