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京都市北区西賀茂榿ノ木町31−2
院長 諸岡 憲(もろおか けん)
  1. インフルエンザ予防接種と副反応について

インフルエンザ予防接種と副反応について

ワクチン接種後の発熱等の副反応は、どうしてもある程度生じるのはやむを得ません。

これは、どのようにワクチンの製造技術が進化しても避けることは出来ません。

今回のご質問

私が小学生の頃、インフルエンザの予防接種は今のように任意ではなく学校で毎年行なわれていたのですが、私の場合、インフルエンザの予防接種をすると、必ず数日後に高熱が出て学校を休みました。
そのため、成人してからの私自身はもちろん、10歳と5歳になる子供達も、自分と同じように熱が出るのではと思い、今まで一度も受けたことがありません。
熱がでるのは体質なんでしょうか?
本当は別に高熱が出てもインフルエンザ予防接種を避ける必要はないんでしょうか?
それと、5歳の子はアトピー性皮膚炎なのですが接種は可能なのでしょうか?
卵アレルギー(血液検査は受けていません)は多少ありますが、それほど強くないように思います。   30代・女性

 

お問い合せ頂き有難うございます。
さて、お問い合せのインフルエンザ予防接種の件ですが、20年前のワクチンと現在製造されているワクチンの純度・副反応発現率などに関して、単純に比較することが出来ませんので、20年前のワクチンだから副反応が強く出たとは、単純には結論できません。
ただ確実に言えることは、20年前も、現在も、ワクチン接種後の発熱等の副反応は、どうしてもある程度生じるのはやむを得ないと言うことです。
これは、どのようにワクチンの製造技術が進化しても避けることは出来ません。


何故ならば、ワクチン接種とは元々、ウィルス等の微生物そのもの、または、その一部を生体内に強制的に注入し、「異物」と認識させて免疫反応を呼び起こし、これによって注入された「異物」を排除するための抗体を生体(この場合人間)に作らせる一連の反応だからです。 つまり、誤解しないで欲しいのですが、ワクチンを接種された宿主(この場合人間)に1種のアレルギー反応を強制的に起こさせているのです。 従って、あなたが小学校の頃、ワクチン接種後、必ず発熱したというのは、接種されたインフルエンザワクチンに全うに体が反応して、抗体が産生されていたものと考えられます。

 

従って、熱が出たからと言って、ワクチンが悪い方ばかりに働いていたとは言えないのです。
勿論、高熱が続けばしんどいですし、不快なのは事実です。しかし、医学的には、発熱は1種の生理現象(防御反応)であり、その殆どは危険な兆候とは言えません。
ワクチン接種の際に発熱よりも遙かに懸念される危険な兆候は、アナフィラキシーショック反応と言って、呼吸困難(最悪は窒息)を起こすものです。


次にアトピー性皮膚炎とインフルエンザワクチンの関係ですが、結論としては無関係です。確かにインフルエンザワクチンは製造段階で鶏卵(正確には鶏胎児細胞)を用いているため(製品の段階では、鶏胎児細胞蛋白は検出不能レベルまで精製除去されています)、卵アレルギーを有する者に取っては注意が必要です。


但し、これも程度問題であって、米国のFDA連邦医薬品局とWHO世界保険機構の基準では、IgE RAST Class 5以上(アレルギーの度合いをIgEという抗体の数値で分類したもので、0から6まであり、6が最高値)

の重度のアレルギーの者だけが、ワクチン接種を控える様に勧告されています(アナフィラキシーショック反応が懸念されるため)。
ところが、日本人の卵アレルギー患者は殆どClass 3以下であり、しかも3歳以降は、殆ど全ての患者がClass 0又は1に軽快しています。
従って、日本人の殆どの卵アレルギー患者に対してのインフルエンザワクチンの接種には、実際上支障を来すおそれはありません。


また、余談ですがアトピー性皮膚炎の原因は、食物ではありません(別項で述べます)。
結論としましては、あなた自身は、おそらく抗原抗体反応が強く反応する(結果としての発熱)のではないかと考えられますが、この反応性がお子様にそのまま形質発現するかどうかは分かりません。
但し、単に発熱するだけならば、上記のように、余り危険な兆候ではないと言えます。
今まで、3種混合等のワクチンを受けて何らかの反応(軽度のアナフィラキシー反応(じんましんの出現)等)がお子様に見られましたか?
もし、その様な反応がなければ、インフルエンザワクチンにも同様に重大な問題はないと考えられます。


また、6歳未満の子供に対して、私は、積極的にインフルエンザワクチンを推奨しています。
理由は、第1に、免疫力が未熟であること、第2に、6歳未満ではインフルエンザ脳炎(死亡率90%以上。救命できてもほぼ100%機能廃絶(植物人間)となります)の発症する確率が、他の年齢層よりも断然高いということです。
20年ほど前、あなたが学校で受けていたインフルエンザ定期予防接種を、その当時のマスコミが科学的根拠が欠落した感情論でインフルエンザ予防接種不要論のキャンペーンを張り、それに乗じた厚生省(当時)が、財政的理由もあったために、一方的に中止してしまいました。そしてその直後から、このインフルエンザ脳炎の患者数が激増し始めたのです(当時、インフルエンザ迅速検査法がなかったため、実数が把握されていませんが、おそらく全国で毎年年間100名以上発生したものと考えられています)。その後、任意のインフルエンザ予防接種が普及し始めた頃から、再び、患者数は年々減少していきました。現在では、全国で、年間10名以下の発生に留まっています。
このことは、インフルエンザ脳炎の発症予防に、インフルエンザ予防接種が大きく寄与している事を示しています。
ただし、最終的にワクチンを受ける、受けないはご自由ですから、あくまでも参考意見としてお考え下さい。