休診日:日曜・祝日

     水曜日と土曜日は午前のみです

京都市北区西賀茂榿ノ木町31−2
院長 諸岡 憲(もろおか けん)
  1. 予防接種について

予防接種について

当院は、日本脳炎ワクチンをはじめ、ワクチン予防可能な疾患に対するワクチン接種を積極的に勧奨しています。

当院では、京都市の予防接種委託医療機関として種々の予防接種を実施しています。

予防接種のご予約は、24時間携帯電話・インターネット予約システムを利用して予約して頂けますが、直接電話であるいは受付窓口で予約もできます。

 

ただし、BCGとポリオは、居住地区保健所あるいは保健センター等で集団で実施することになっていますので、当該保健所からのお知らせ等(葉書、区報、市報など)をご覧下さい。

予防接種の際に持参するもの

予防接種券・予防接種予診票・母子手帳・印鑑

 

予防接種の注意点

京都市内在住の場合、BCG、ポリオ、三種混合/二種混合、麻疹、風疹、および、日本脳炎は無料で接種できます。また高齢者のインフルエンザ(勧奨接種二類)は1,500円の窓口負担になります。

任意接種の、おたふくかぜ、インフルエンザ、A型肝炎、B型肝炎(2016年10月1日から対象年齢の者のみ公費となりました)は有料です。

 

 

ただし、B型肝炎の母子感染予防の場合は、保険診療で実施します(医療機関でカルテのない方は、新規にカルテ作成しますので、健康保険証と乳幼児医療証が必要です)。

また、任意接種ワクチンの内、2008年度以降新たに導入されたHibワクチン、肺炎球菌ワクチン、および、子宮頚癌ワクチンについては、各自治体による公費助成制度が適用されるようになりました(2011年1月以降)。

従って、2012年度末までは、少なくとも、接種対象年齢者は、これらのワクチンも無料での接種可能となります。

また、 水痘ワクチンの予防接種が、2014年10月1日より、今までの任意接種から定期予防接種に移行され、接種対象者は公費(無料)で接種することができるようになりました。

B型肝炎については、WHOの勧告に従い、乳幼児期の接種が漸く始まりました。但し、やはり本来行うべき態勢からはほど遠く、平成28年(2016年)4月1日生まれ以降の乳児のみが対象とされ、しかも、全部で3回接種を1歳までに完了しなければならないと言う、極めて厳しい条件付きとなりました。2016年12月現在で、なおかつ、2016年4月から7月生まれの乳児は今すぐ接種を開始しないと、3回接種が公費では完了できないと言う事態になりかねないので、お急ぎください。


ワクチンの種類と接種間隔

ワクチンは大別して弱毒生ワクチン(病原体の病原性を弱めてそのまま使用する。下表A参照)と不活化ワクチン(病原体をホルマリンなどを用いて殺し、抗体を作るのに必要な成分を抽出してつくる。下表B参照)に分かれます。

 

日本では、不活化ワクチンを接種した後は6日以上、生ワクチン接種後は27日以上間隔を開ける事が望ましいとされています。

しかし、この様な取り決めは、純粋な医学的根拠に基づくものではありませんし、さらには、この様に取り決めているのは、日本だけなのです。

 

日本の予防接種制度は、欧米等の先進諸国に比べ、20年以上遅れています。

なぜならば、現在、日本で行われている予防接種ワクチンの種類や、各々の接種回数さえも、欧米諸国のそれらに対して、比較にならないほど圧倒的に貧弱なのです。

このことは、海外にお子様を連れて移住・長期滞在した経験がお有りの方なら、よくご存じの事だと思います。

 

接種方法にしても、欧米では、数10年前から複数のワクチン(欧州では5〜6種、米国では5種混合ワクチン)を同時接種することが一般的となっています。

 

また、国際的基準においては、すなわち、純医学的基準においては、不活化ワクチンと他のワクチンとの間の接種間隔に関する制限は、一切必要がないのです。一方、生ワクチンの場合、@はしか(麻疹)、A風疹、Bおたふくかぜ、C水痘(水疱瘡)の4種間のみについては、これら同士での接種間隔を27日開ければ良いのです。

 

「日本の常識は世界の非常識」なのです。

ただし、日本でも、医師の判断で複数のワクチンを同時接種しても構わないことになっています。

従って、当院では、医学的に正当な国際基準に則り、ワクチンの複数同時接種、または、無用な間隔制限なしで異種間ワクチン接種を行いますので、お気軽にご相談下さい。 

  •  A. 生ワクチン

  • B. 不活化ワクチン:下記の他に、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頚癌ワクチンが新たに追加になっています(詳細は別項)

 

日本脳炎ワクチンについて

日本脳炎は、日本脳炎ウィルスによって引き起こされる急性ウィルス性中枢神経感染症です。

近年(2006年まで)、日本国内の日本脳炎患者数は、主として、過去に予防接種を受けていなかった高齢者を中心とした年間数名の発生に留まっており、数十年前の事情とは大きく異なっていました。

しかし、これは徹底した予防接種と日本人の生活様式が欧米式都市生活型に変化・定着した事によるところが、大きかったのです。

 

なかでも、予防接種の果たした役割が最も大きかったと考えられます。

ところが、別項で詳細に述べますが、何の事前予告もなしに、厚生労働省は、2005年5月30日以降、この日本脳炎ワクチン接種を、一時見合わせる様、勧告を行いました(積極的勧奨の一時中止)。

これ以降、2010年4月までを、私は、日本脳炎ワクチン暗黒時代と呼んでいます。

ただし、私は、この「暗黒時代」も、首尾一貫して日本脳炎ワクチン接種を積極的に勧奨し続けてきました(別項参照)。

そして、2010年4月1日、厚生労働省は突然、今度は「日本脳炎ワクチンに対しての積極的勧奨の再開」を発表したのです。

 

さらに、2011年5月20日には、「1995年(平成7年)6月1日から2007年(平成19年)4月1日生まれまでの者で、日本脳炎予防接種を接種しないまま、本来の定期接種適応年齢(13歳未満)を超えてしまっていても、その者が20歳未満までに合計4回の接種を無料で受けられるよう配慮する」という趣旨の通達を発表しました。

 

つまり、現在、日本脳炎予防接種は定期接種に復活したばかりか、とうの昔に無料で受けれる年齢を超過した者(厚労省の決定を素直に信じて予防接種を受けていなかった者)でも無料で接種できるようになったのです(詳細は別項で述べます)。

 

日本脳炎と日本脳炎ワクチンに関する背景の詳細 

 

 

 

 

新しく追加となったワクチンについて

Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頚癌ワクチン等

2008年12月にヒブ(Hib)ワクチン、2009年4月に肺炎球菌ワクチン、2010年4月に子宮頚癌ワクチンと、この数年で20年の遅れを取り戻すような、新ワクチンの導入が一気に進みました。これらの一連の動き自体は大いに歓迎すべき事であり、厚労省も少しは変わったのかと見直しました。

以下に個別にワクチンを見ていきましょう。

 

ヒブワクチン

Hibとは、Haemophilus Influenzae type B(インフルエンザ桿菌B型)の頭文字を取ったもので、インフルエンザの名前を有してはいますが、インフルエンザウィルスとは、何の関係もありません(最初の発見が、インフルエンザ患者からだったため、この命名となりました)。

ヒトからヒトへ飛沫感染で伝搬し、鼻咽腔で増殖します。

 

この菌に対して、免疫を有していれば、通常は所謂、風邪症状か軽度の咽頭扁桃炎程度で終わります。

ところが、何等かのきっかけにより、乳幼児の場合、同菌は、脳内に侵入し、脳や脊髄を覆う膜の一つである髄膜に感染してしまうのです。

これが細菌性髄膜炎という疾患です。

 

つい最近まで、即ち、Hibワクチンが導入されるまでは、日本では、「ありふれた病気」の一つであり、年間800人から2000人もの発症を観ていました。

細菌性髄膜炎の初期症状は、発熱、嘔吐、不機嫌くらいの急性上気道炎的症状で、他の疾患との鑑別が困難であり、しかも、生後2ヶ月程度でも発症する場合があるため、我々小児科医にとって、厄介な疾患の一つです。

 

この疾患の診断は、髄液検査しかなく、この検査によって確定診断が付いた後、直ちに、多剤抗生剤の大量点滴静注(内服抗生剤は無効)、ステロイド点滴静注、膠質浸透剤の点滴静注等の組み合わせによる治療を開始し、数週間から2ヶ月ほどの治療期間を経て、漸く寛解に至ります。

この間、不幸にして救命できない症例が5%ほど存在し、さらに、寛解に至ったとしても、重篤な後遺症(神経麻痺とそれによる歩行障害、あるいは、それを含んだ重度の運動機能障害、水頭症(脳室に脳脊髄液が貯留する病気)、重度の難聴、知能発育障害等)の残る確率が、全症例の25%にも及びます。

また、近年ではHibの耐性菌が増大してきており、治療に抵抗する症例が増大してきています。

従って、この疾患も、やはり、予防することこそが最も有効な対策であり、この目的に沿って開発されたのが、Hibワクチンなのです。

接種開始は、生後2ヶ月からで、回数は初期3回(接種開始月齢により異なります)と追加1回の合計4回を基本とします。

またしても起きたワクチンを巡る我が国特有の風評被害

 

 

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンには、小児用と成人用があります。このうち、小児用はPrevenar(米国ではPrevnar)という商品名で、Wyeth社(現在はPfizer社に統合)が製造する、7価肺炎球菌ワクチンで、肺炎球菌血清型4、6B、9V、14、18C、19F、23Fに由来する7つの抗原を利用したワクチンです。

その安全性と有効性は、ヒブワクチンと同様、既に最初に導入した欧米各国で実証済みであり、最初に開発し導入した米国(2000年)でも、ヒブワクチンと同等の予防効果、および、安全性が疫学調査により判明しています。

 

では、何故、細菌性髄膜炎に対して2つもワクチンが必要なのでしょうか。

 

細菌性髄膜炎は、Hibだけでなく、様々な菌によって起こる疾患だからです。

1歳未満で見ますと、細菌性髄膜炎の起因菌は、Hib菌が実に6割を占めており、肺炎球菌も約3割に上り、両者で約9割を占めることになります。

1歳以上の場合、Hib菌の占める割合が若干低下し、逆に肺炎球菌ワクチンが増加すると共に、髄膜炎菌やリステリア菌の割合も、無視できないほど増加してきます。

いずれにしても、乳児の早期にヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、殆どの細菌性髄膜炎が予防できることが、これでお分かりかと思います。

日本では、ヒブワクチンと同様、肺炎球菌ワクチンPrevenarの導入が遅れに遅れ、2009年2月に漸く導入されました。しかしながら、Hibワクチンと同様、2011年現在で、未だに任意ワクチンの扱いです。

接種開始は、生後2ヶ月からで、回数は初期3回(接種開始月齢により異なります)と追加1回の合計4回を基本とします。

 

子宮頚癌ワクチン

子宮頚癌は、世界的には女性特有の癌として乳癌に次いで第2位の発症率となっており、毎年約50万人が新たに子宮頚癌を発症しています。子宮頚癌は発癌性の高リスク型ヒトパピローマウィルス(High-Risk Human Papillomavirus: HR-HPV)の持続感染が原因となることが明らかとなっています。

 

HR-HPVのうち、HPV-16およびHPV-18は最も分離頻度の高い型であり、子宮頚癌の組織から検出されるHR-HPVの60%〜70%を占めています。

 

HR-HPVの子宮頚部への感染は、殆どが性交渉によるもので、性交渉によって子宮頚部粘膜に微細な傷が生じ、そこからウィルスが子宮頚部基底細胞に侵入して感染が起こると考えられています。

このウィルスに感染することは、決して特別なことではなく、女性であれば誰でも感染する可能性があるのです。

 

但し、HR-HPVに感染しても、殆どの場合、感染は一過性でウィルスは自然に排除されます。

しかし、ウィルスが排除されずに長期間感染が続くと、極一部のケースで数〜数十年間に及ぶ前癌病変を経て子宮頚癌を発症します。

 

子宮頚癌ワクチン(Cervalix)は、ベルギーのGlaxo-Smith-Kleine(GSK) Biologicals社で開発されたワクチンで、HPV-16およびHPV-18の外殻蛋白であるL1蛋白を抗原として、3-脱アシル化モノホスホリルlipid(3-O-deacyl-4'-monophosphoryl lipid A: MPL)と水酸化アルミニウムからなるAS04というアジュバント(免疫賦活化物質)を組み合わせたVLP(Virus-Like Particle: ウィルス様物質)ワクチンです。

 

本来のウィルスは外郭蛋白の中に固有のDNAを有しており、VLPには、このDNAが存在しません。従って、VLP自体には、全く病原性はなく、この点で病原体全てか、その一部を原料として使用する他のワクチンとは、全く性質が違います。

 

子宮頚癌ワクチンを接種することにより、高い免疫原性と長期間(約20年間かそれ以上)の予防効果を得られることが、欧米各国の疫学的調査により既に証明されています。

従って、初交年齢に達する前の女子(10歳代前半)を優先対象とするのが、最も効果的予防処置であり、最も遅めのフランスで14歳から、英国やドイツでは、12歳から、米国、ギリシャおよびスペインでは11歳から、ベルギーでは10歳から、それぞれ定期接種とされています。

 

2011年10月より、子宮頚癌ワクチンが、もう一種類追加承認されました(Gardasil)。上記のCervalixが、HPV-16およびHPV-18に対する2価ワクチンであるのに対して、GardasilはHPV-6、11、16、および、18に対する4価ワクチンとなっています。ワクチンの製造法やVLPを用いるところなどは、Cervalixとほぼ同じです。

 

お互いの相違点は、後者(Gardasil)の方が外陰上皮内腫瘍、腟上皮内癌、尖圭コンジローマ(外陰部、肛門周囲、膣、子宮頚部などに好発する難治性肉芽病変)に対しても、有効とされています。ただし、前者(Cervalix)もHPV-6およびHPV-11に対する抗体発現を行う事が有意に認められており、必ずしも4価ワクチンが2価ワクチンよりも優位であるとは言い切れないようです。

当院としては、どちらを選択して頂いてもそれほど差は無いと考えています。

ただし、どちらか一方のワクチンで開始して、2回目以降をもう一方のものに置き換えると言うことはできません。

 

また、2011年10月現在、Gardasilについては、供給不足のため、実際に運用可能となるのは、2011年12月以降となる見込みです。

日本では、Cervalixは、2010年終わりに漸く認可され(Gardasilは2011年夏に認可されました)、2011年現在、12歳〜16歳の女子に対して接種が推奨となっています。但し、またしても、このワクチンも日本では任意接種です。

 

接種開始は、日本では、11歳から(但し、公費助成を受けられるのは12歳以降)、回数は3回を基本とします。

以上が、2011年現在、新たに追加となったワクチンです。この他、ロタウィルスワクチンや不活化ポリオ・ワクチン(IPV)が近々承認運用される見通しであり、2008年までの日本のワクチン行政から見れば著しい進歩は遂げました。

 

なお、上記3つのいずれのワクチンに対しても、2011年以降、各自治体による公費助成制度が始まり、少なくとも2012年度までは、住民票(あるいは外国人登録)の届け出をした市町村に存在する各医療機関で、対象年齢となる者は無料で接種を受けられます。