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京都市北区西賀茂榿ノ木町31−2
院長 諸岡 憲(もろおか けん)
  1. アトピーでお悩みの方

アトピーでお悩みの方

アトピーでお悩みの方へ

アトピー性皮膚炎も、やはり、その発症の本態はTh1とTh2のアンバランスにある事は既に明らかであります。

 

アトピー性皮膚炎の他のI型アレルギー疾患との違いは、Th2が気管支周辺領域で活動せず、皮膚の直下で活動している事にあります。

 

即ち、主として、胸腺で産生されたTh2を皮膚直下まで遊走させる、21世紀初頭に発見されたばかりのサイトカインがあり、これをTARC(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)と呼びます。

これが発見されたことにより、長年アトピー性皮膚炎はIV型アレルギーでありながら、どうしてI型アレルギーの性質を有しているのか、と言う謎に対する論理的回答が得られたのです。

 

従って、アトピー性皮膚炎に対しても、究極的には、アレギサール、または、アイピーディの長期継続内服療法が極めて有効であり、1年〜2年間長期投与することにより、完全寛解(治癒)、もしくは、著明改善に至らしめることが可能です。

 

但し、アトピー性皮膚炎の初期は、アレギサール(またはアイピーディ)に依存しなくとも、以前から執り行われているステロイド外用薬塗布療法で充分に完全寛解(治癒)に至るケースも多いのです。

 

ステロイド外用薬塗布療法への誤解

ステロイド外用薬塗布療法には誤解が多く、ステロイドを忌み嫌って、怪しげな民間療法に走る方が未だに後を絶ちません。

 

この民間療法が全て間違いであることは既に証明済みであり、後述の「祈祷師療法」も含めて、このような療法に囚われている方は、一日でも早く「還俗」されることを願います。

詳細は、金沢大学医学部皮膚科学教授(日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療問題委員会委員長)である、竹原 和彦氏がその著書、

そこが知りたいQ & A〜アトピー性皮膚炎の最新知識―日本皮膚科学会患者相談システムに学ぶー 医薬ジャーナル社刊

で詳細に述べられていますので、一般書店でも注文により購入可能ですから、是非一読をお勧めします。

 

ステロイド外用薬塗布療法は、いわば、アトピー性皮膚炎に対する世界標準治療法(薬)であり、ステロイド外用薬を忌み嫌うのは日本のみに特化された珍しい現象です。

何故、このような混沌とした状況が日本では起こってしまったのでしょうか?上述の竹原和彦氏の著書に詳細な既述がありますが、要約すると、以下のようになります。

 

1.皮膚科と小児科の考え方の違い

1980年代後半に、小児のアトピー性皮膚炎の原因は全て食物アレルギーであるとの考え方が一部の小児科医から提唱され、日本のアトピー性皮膚炎をめぐる医療は大混乱に陥りました。その後、既述した様に、我々岐阜大学グループを始めとしたアレルギー学の先進的研究の累積により、このような考えは完全に否定され、アトピー性皮膚炎の児に厳格に食事指導を行うことは殆どなくなりましたが、一部にシーラカンスの様な、20年以上前の考えをそのまま引きずっている不勉強な小児科医(開業内科医も含む)が未だに存在するため、散発的・地域的な混乱が残存しています(京都にも残存しています)。

 

2.皮膚科医内での考え方の違い

1990年代前半になり、一部の皮膚科医より「ステロイド外用薬を中止することで、アトピー性皮膚炎を治せる」と、誠しやかに主張する「脱ステロイド療法」が提唱されたため、それまで世界的な標準治療薬であるステロイド外用薬で治療していた患者さんに、その治療に対する迷いを与えました。

このような不勉強な皮膚科医もその後殆ど淘汰されましたが、未だに京都を含む一部の地域に存在して、時代錯誤的な診療を継続しているようです。

 

3.マスコミによるステロイドバッシング

1990年代前半は、日本のマスコミによるステロイドバッシングの時代でもありました。

1992年にテレビ朝日の「ニュースステーション」により、ステロイド外用薬は大変恐ろしい薬であるという1週間に及ぶ特集が組まれ、これにより、さらに患者さんの動揺を大きくしました(この事件も、後述するマスメディアによる風評被害・冤罪の一つです)。

 

その後、厚生省(当時)のステロイド外用薬によるアトピー性皮膚炎の治療に関する研究班からの報告がまとまる1990年代後半まで、各種マスメディアによるステロイドバッシングは継続されましたが、この報告を基に、日本皮膚科学会からのアトピー性皮膚炎の治療に関するガイドラインが作成されて発表された途端に、マスメディアによる攻撃は、潮が引く様に減衰し、やがて消失しました。

なお、この時も、扇動的に騒ぎ立てたマスコミ諸氏は、テレビ朝日は勿論、他のマスメディアも、一言半句たりとも謝罪や訂正を行っていません(同様の事については後述します)。

従って、未だに、一般の方には、この間違った扇動の余韻を引きずっている方が依然として少なからずいらっしゃいます。

 

4.アトピービジネスの台頭

ステロイドバッシングを中心とする医療不信の拡大と共に、「奇跡の効果」を謳う「アトピービジネス」が雨後の竹の子の様に発生し、その各種「新興宗教まがい」に対する患者さんの期待が集まり、その結果として多くの被害者を出したことは、日本皮膚科学会の調査でも明らかになっています。

これらのアトピービジネスには、漢方薬のみによる治療、超酸性水療法、厳格食事制限療法などがありますが、いずれも、祈祷師まがい(あるいは欧州中世の錬金術師)の非科学的方法論であり、いずれも無効であることは勿論、それらの「まじない」を受けた者に有害作用のみしか残しません(詳細は上述の竹原氏の著書を参照して下さい)。

 

しかも、困ったことには、これらの、「新興宗教まがいのアトピービジネス」が、各地に未だに存在し、ある程度の勢力を保っていることです。

この様に歪んだ医療状況が残存する原因は、医師にもあります。

即ち、竹原氏らが、せっかく苦労して治療ガイドラインを作っても、それに目もくれない小児科医は勿論、皮膚科医ですらも少なからず存在し、1990年代以前のような時代錯誤的診療を行っていることが大きな原因です。

 

なお、竹原氏は上記の混乱の原因の一つに、アトピー性皮膚炎の原因が未解明と記述されていますが、これは、2000年当時の認識であり、いささか古いため、敢えて私は上記に挙げておりません。既述してきた様に、アトピー性皮膚炎の根本原因は、遺伝子異常にあります。

当院は、アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬による治療を基本としていますが、勿論、それは上述の日本皮膚科学会によるアトピー性皮膚炎の治療ガイドラインに準拠したものです。

竹原氏は、2000年6月に金沢大学皮膚科内でアトピー性皮膚炎治療問題委員会を起ち上げ、同時に、この委員会で患者相談システムを始められました(2000年7月より)。原則、メール、または、Faxのみによる相談受付で、電話には対応されていません。

 

アトピー性皮膚炎治療問題委員会 (金沢大学医学部皮膚科内)

Fax .076-234-4274

e-mail: atopic@med.kanazawa-u.ac.jp